子育て支援センターで話したことのあるママ友から、ある日...
「うち、子ども服たくさんあるから、よかったらおさがりどう?」
その言葉を聞いたとき、私は思わず「ありがとうございます」と笑顔で返しました。でも、心のどこかでは少し戸惑いの気持ちが生まれていたのを、今でもよく覚えています。
そのママ友とは、支援センターで何度か会話を交わした程度で、決して深い関係ではありませんでした。だからこそ、その申し出がありがたいと感じつつも、「一歩踏み込んだ関係になるのかな?」という不安がよぎったのです。
結局私は、おさがりを受け取ることにしました。実際に届いた子ども服はとてもきれいで、状態も良く、ありがたい気持ちでいっぱいでした。
おさがり文化はありがたい。だからこそ、悩む
子ども服って、本当にすぐにサイズアウトします。この間までぴったりだった服が、あっという間にきつくなってしまうことも珍しくありません。
毎シーズン服を買い直すのは金銭的にも負担が大きくて、「おさがり」はとてもありがたい存在。エコでもあるし、譲る側にとっても捨てるより気持ちがいいはず。
でも、私はその「ありがたさ」だけでは割り切れない、複雑な気持ちも抱えていました。
モノには「関係」がくっついてくるときがある
「もらう」という行為は、ただの物のやりとり以上の意味を持つこともあります。
たとえば、服をもらったあと、「次に会うとき、その服を着せて行ったほうがいいのかな?」「お返しに何かしなきゃいけないかな?」そんなプレッシャーを、自分の中で無意識に感じてしまう。
これは、相手が悪いのではなく、私自身の性格や気質の問題かもしれません。でも、きっと同じような気持ちを抱えたことがある人も、少なくないのではないでしょうか?
感謝しているのに、どこかで少し重く感じてしまう——そんな自分にまたモヤモヤする。子育て中の心は、そういうちょっとしたことで揺れやすくなるものだと思います。
「もらってよかったのかな」と迷う気持ちもある
正直に言うと、受け取ってすぐは本当にありがたかった。でも、時間が経つにつれて「やっぱり、もらわない方がラクだったのかも」と思ってしまうこともありました。
「今度会うとき、ちゃんと着せて行った方がいいかな」「何かお礼を用意しなきゃダメかな」そんな思いが少しずつ積もっていったのです。
あのとき、断っても良かったのかもしれない。けれど、断ったら断ったで、また別のモヤモヤを抱えていたかもしれません。
相手は本当に善意で言ってくれたのに、なんでこんなことで悩んでいるんだろうという葛藤もありました。
おさがりを「もらう」か「もらわない」かは、人それぞれの価値観で
子育てをしていると、いろんな場面で「ありがたい申し出」と出会います。
・「本当に助かる!」と思って気軽に受け取れる人もいれば、
・「ありがたいけど、ちょっと気が重いな」と感じる人もいる。
どちらが正解ということは、もちろんありません。
大切なのは、自分の気持ちに正直になること。無理をせず、自分らしくいられる人間関係を大事にすること。
そうやって少しずつ、「自分と子どもにとって心地いい環境」をつくっていけたら、それが一番なのだと思います。
おわりに|「ありがとう」と「ごめんなさい」を使い分けながら
子育て中は、思いがけずいろんな人の親切に出会います。
そのひとつひとつに、心から「ありがとう」と思えるときもあれば、ちょっと立ち止まって考えたくなるときもありますよね。
すべてを受け取らなくてもいい。距離感を大切にしながら、自分にとって負担の少ない関係を築いていけばいいんです。
「ありがとう」と「ごめんなさい」——そのどちらも大事にしながら、あなたらしい人付き合いを選んでいけますように。
そして、そんなあなたの選択が、育児の毎日を少しだけラクに、やさしくしてくれますように。