『無限の5分』 5
1. 戦闘中断

サカキとヤマトの戦いが続く中、アヤカが鋭い声を上げる。
「やめなさい!」
サカキは息を切らしながらアヤカの方を振り向く。
ヤマトも腕を下ろし、興味深そうにアヤカを見つめる。
「おいおい、やめろって?楽しくなってきたところじゃねぇか。」
ヤマトが肩をすくめながら言うが、アヤカは冷たい目で睨み返す。
「そもそもここは学校よ。こんなこと、許されるわけないじゃない。」
サカキは拳を握りしめながらも、アヤカの言葉に呼吸を整える。
少しは回避できるようにはなったが、結局はヤマトの力に翻弄され、対等な戦いにはなっていない。
「……これ以上やっても勝ち目がないから、止めたのか?」
サカキが悔しげに小さく呟くと、アヤカは言葉を選ぶようにして言う。
「違う。私たちが知りたいのは青白い光についてでしょ。こんなことして誰が得するのよ。」
その言葉に、ヤマトはニヤリと笑う。
「ははっ、いいね。冷静な判断だ。」
そう言って、ヤマトは戦闘の構えを解く。
「俺はヤマト。別にお前らを潰すつもりはねぇよ。」
彼の言葉の意図を測りかねるまま、サカキとアヤカは戦いを終える。
本記事にはアフィリエイト広告を含む場合があります。
2. ヤマトの真意
ヤマトは気楽そうに笑いながら言う。
「なぁ、お前ら、そもそも何でこんなとこにいるんだ?」
サカキは戸惑いながらも答える。
「あんた、青白い光を見たことがあるか?そいつの正体を調べてる……それと、俺たちがあいつに"試されている"理由についてだ。」
ヤマトはニヤリと笑い、腕を組む。
「知ってるぜ。それなら俺も付き合ってやるよ。なんやかんやで、俺も気になってたんだよな。」
アヤカが少し訝しげにヤマトを見つめる。
「あなた、戦った相手に簡単についていくわけ?」
「別にいいだろ?それに……お前ら、青白い光を敵だと思ってるみたいだけど、それは違うぜ。」
サカキとアヤカは驚き、ヤマトを見つめる。
「……どういうことだ?」
ヤマトは真剣な表情になり、ゆっくりと語り始める。
「俺もお前らみたいに試されたんだよ。……同じ"5分のループ"でな。」
ヤマトは、自身の試練もサカキたちと同じ『5分間のループ』だったことを明かす。
「お前らと全く同じ状況だったぜ。でも、あいつは俺にちょっと違うことを教えてくれた。」
「違うこと?」
サカキとアヤカが思考を巡らせる中、突然、空間が揺らぐ。
「――来たな。」
ヤマトが呟くと同時に、再び青白い光が現れる。
3. 青白い光

「試練を受けし者たちよ。」
青白い光が、これまでとは違う雰囲気を纏っている。
どこか急いでいるような、焦りすら感じさせる佇まい。
サカキは拳を握りしめ、一歩前に出る。
「今度は何を試すつもりだ?」
光はしばし沈黙した後、淡々と告げた。
「私はエルシア。」
その言葉に、一瞬の静寂が流れる。
「私はお前たちに試練を課した存在……本来ならばまだ試練を続けるつもりだった。」
ヤマトが腕を組みながら言う。
「……なんで、途中で切り上げるんだ?」
エルシアは静かに答える。
「状況が変わった。世界への介入が始まった。」
サカキとアヤカが目を見開く。
「介入……?」
エルシアは小さく頷く。
「これから、お前たちにすべてを話す。この世界のこと。そして、上位世界のことを。」
