ラノベ 無限の5分

『無限の5分』~寝起きの「あと5分」は本当に5分で済むのか?~3

『無限の5分』3


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1.調査開始

放課後の静まり返った校舎に、サカキとアヤカの足音が響く。青白い光との再会後、二人はその正体や目的を探るため、毎日学校の中を調べた。
教室、廊下、体育館……どこにも異常は見当たらない。アヤカは腕時計を見つめながら言った。

「これ以上調べても何もないんじゃない?」

その冷たい声に、サカキは一瞬言葉を失うが、すぐに答える。
「それでも調べなきゃわからないだろ。俺たち以外、誰もこの異変に気付いてないんだから。今日は旧校舎を調べよう。」

二人は旧校舎へ足を踏み入れる。ほとんど使われていないその場所は、埃が積もり、夕陽に照らされて不気味な雰囲気を漂わせていた。

そこで、サカキは床に奇妙な光の跡を見つける。
「これ……ガラスの反射じゃないよな。」
床に青白い光の痕跡が、まるで誰かが歩いたかのように薄く残っている。アヤカもそれを目にして、表情を険しくさせる。
「これは、あいつの……。」

二人はその跡をたどりながら奥へと進むが、途中で光は途切れていた。アヤカはその場で周囲を注意深く観察し、サカキに小声で告げる。
「この場所、何かおかしい。時計の秒針がカタカタ動いていて、進もうとする時間を無理やり止めようとしているような……。」
そんな違和感を感じつつも、この場では他に手がかりを得ることはできなかった。


2.異変の発見と事件の始まり

翌日、サカキは学校でアヤカと再び会い、昨日見つけた光の痕跡について議論する。
「やっぱりあの青白い光と関係があるんだろうな。」
アヤカは机に置かれたノートを指差しながら言う。
「でも、それだけじゃ何もわからないわね。具体的にどういう仕組みで時間が歪むのか、もっと調べる必要がある。」

始業のチャイムが鳴ったので、放課後、再び旧校舎を調べるという事にして話を終わらせた。
しかしその日の昼休み、異変が起きる。

教室の窓ガラスに、突如として青白い光が浮かび上がり、異様な模様を描き始めたのだ。
「なんだよこれ!」と生徒たちが騒ぎ出す中、サカキとアヤカはすぐに駆けつける。

光の模様が形を変えながら動き、次第に文字のような形を描いていく。
「"Resist Time" ? これって……何かのメッセージ?」
アヤカが呟くと同時に、光は一気に消え、教室の空気が凍りつくように静まり返った。

その瞬間、時計の針が止まり、周囲の生徒たちが動きを止めてしまう。サカキとアヤカだけが異常に気づき、動ける状態だった。
「これ……また始まったのか。」
サカキが歯を食いしばりながら言うと、アヤカが冷静に状況を整理する。
「メッセージを読ませた後にこれ……私たちを試しているのかもね。」

動きを止めた生徒たちの間を抜けながら、二人は異変の中心と思われる場所、旧校舎へ向かう。
旧校舎に入ったところで、この完全に静止したはずの空間では聞こえるはずのない、自分たち以外の歩く音が聞こえてきた――。

「あの青白い光か?それとも、他にも動けるやつがいる、のか?」
サカキはアヤカと共にその足音を追い、旧校舎の奥へ向かった。


3.足音の主


静止した空間の中、二人の耳に響くのは規則的な足音だけだった。サカキはその足音を追い、廊下の奥へ進む。そして、声を張り上げる。

「誰だ!隠れてないで出てこい!」

その声に応えるように、薄暗い廊下の奥から人影が現れる。顔までははっきりと見えない。

「……すぐにわかるさ。」
低い声が響き、足音の主はゆっくりと近づいてきた。

サカキとアヤカは緊張しつつその場に立ち尽くす。距離が縮まり、ようやく顔がぼんやりと認識できるかというところで、

「その前に、ちょっと遊んでやるよ。俺以外にこの空間で動けるやつが出てきたのはいいけど、お前らまだ慣れてないんだろ?」
足音の主は余裕の笑みを浮かべながら、さらに一歩前へ進む。その表情が、ようやくはっきりと見える距離まで近づいた。

「お前らが、どれくらい動けるか、試させてもらうぜ。」

サカキはその言葉に息を呑みながら答える。
「試すって……どういう?」

その刹那、動けず立ち止まるサカキたちへ向かい、足音の主は床を蹴り急接近する。

「お前ら、どこまで力を使えるんだ?」
そう言って足音の主―――ヤマトが指を鳴らした瞬間、サカキたちへ向けて青白い光が放たれた。




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